7月12日投開票の県知事選が始まった。コロナ下で県民は政治に何を望んでいるのか。声を聞いた。

露店業者

催事と防疫 両立考えて
2020/07/09 09:59
出番が減った仕事道具が早く活躍することを願う上川眞一郎さん=鹿児島市
出番が減った仕事道具が早く活躍することを願う上川眞一郎さん=鹿児島市
 新型コロナウイルスの影響で鹿児島県内各地の催しが軒並み中止となり、にぎわいを支える各種屋台の露店業者は、営業の場がなくなり苦境に立っている。県の休業要請や時短営業に対する協力金の対象にもなっていない。
 「露店を営み40年。こんなに厳しい状況は初めて」。鹿児島市の業者、上川眞一郎さん(69)は、がっくりと肩を落とす。例年、県内各地の花見や六月灯、花火大会などにドーナツや団子などで出店するが、今年は車に屋台のテントやプロパンガスを積んだまま。夏は書き入れ時だが催しはゼロ。加えて、鹿児島市でクラスター(感染者集団)が発生し、9月以降開催を検討していた催しに期待が持てなくなった。車に積んだ道具が出番を迎える時期はまだまだ先になりそうだ。
 露店業は、催し会場に出向き屋台を開く業態だ。上川さんは、スーパーマーケットや物産館などの敷地で営業し、何とかしのいでいる。「催しへの出店だけで生活する人もいる。正月まで影響が長引けば、廃業せざるを得ない業者が出るかもしれない」と不安を口にする。
 鹿児島の露店業は1945(昭和20)年の終戦直後、出店組合として集まり、正月の初市や年末の暮れの市などを立ち上げ、復興に貢献したと伝え聞く。65人が加盟する県公認県出店商業協同組合(事務所・鹿児島市)もその意志を継ぎ、地域活性化を担ってきた自負がある。
 新しい知事には、「『経済対策』と抽象的な言葉で済ませず、イベントが開ける雰囲気になるように旗振りして」と注文をつける。人が動けば、露店業だけでなく、交通、卸売業など幅広い経済効果があると確信するからだ。
 そのためにも、コロナ対策は徹底するつもりだ。店の間引き、飛沫(ひまつ)防止など感染防止対策をそれぞれの業者が考える機会も計画する。「売り上げは半分でもいい。イベント開催とコロナ対策を両立するにはどうしたらいいか、前向きに考えてほしい」と力を込める。

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