候補者の訴えを聞く有権者=30日
鹿児島県知事選は6月30日、7候補のうち4人が奄美大島と徳之島入りした。梅雨特有の蒸し暑さのなか、汗を拭いながら街頭、選挙カーで思い思いに離島振興策を訴えた。
現職の三反園訓さん(62)は奄美大島を終日回った。「奄美を27回訪れ、現場の声を聞いてきた」とフットワークの軽さをアピール。住民からの要望をかなえた施策の一つに、離島中高生の部活動遠征にかかる交通費助成を挙げた。新型コロナウイルス対策は取り組みの真っただ中。「水際対策を進め、経営が悪化した観光業や農業をV字回復させる」と意気込んだ。
新人で前九州経済産業局長の塩田康一さん(54)も奄美大島を巡回。離島暮らしの経験を紹介し、医療体制の強化を課題に挙げた。安心して暮らせる環境づくりと経済活動を両立するため、「PCR検査体制の充実や地元産品の販路開拓が必要」と強調。奄美の世界自然遺産登録も見据え、「環境保全と観光客の受け入れ準備を進め、経済発展につなげる」と声をからした。
「奄美群島は鹿児島の宝」。前知事の伊藤祐一郎さん(72)は、かつて農業基盤整備に取り組んだ徳之島で力を込めた。久々の訪問に「経済のパワーが落ちていると感じた」という。経済発展を遂げる東南アジアとの連携を深め、交流人口拡大を目指すと熱弁。農業振興策も取り上げ、「土づくりを進めて収穫量を増やす。農家の所得を上げたい」と支持を呼び掛けた。
新人で元民放アナウンサーの青木隆子さん(57)も徳之島入り。周産期医療の現状を取材した経験から、「かかりつけ助産師制度を確立し、安心安全に暮らせる島にしたい」と思いを語った。人口減対策として、学校でのオンライン授業の推進を掲げ、「島でも世界とつながり、学べる」と訴えた。女性から声援を受けると、「県政に新しい風を吹かせる」と誓った。
新人の医師横山富美子さん(73)は他候補に先駆け、28日に奄美大島へ。演説会では、自衛隊基地への反対を改めて強調した。陣営幹部は「戦後の苦しみを知る世代と共有できた。手応えがある」。
新人で元鹿児島大学特任助教の有川博幸さん(61)は1日から与論島、奄美大島、徳之島、沖永良部島を巡る。「農業と水産業のバランスのとれた発展、本土との格差是正」を訴える考えだ。
新人で元高校教諭の武田信弘さん(66)は離島を訪れる予定はないが、地熱開発推進を掲げており、「火山のある口永良部島や諏訪之瀬島は有望」と語る。