7月12日投開票の鹿児島県知事選は、原則40年の運転期限が近づく九州電力川内原発1、2号機(薩摩川内市)の延長問題が争点の一つとなっている。候補者7人はいずれも「脱原発」を掲げるが、延長に対する賛否は分かれている。条件付きで容認する候補者の間でも、延長期間に違いがみられる。
原発の運転期間は国の原子力規制委員会が認可すれば、40年を超えて1回に限り最長20年延長できる。川内1、2号機の運転期限はそれぞれ2024年7月と25年11月。安全対策費に4000億円以上を投じた九電が延長を申請するのは確実とみられ、次期知事は任期中に対応を迫られる。
南日本新聞の候補者アンケートでは、2人が運転延長を認めているが、「最長20年」には反対している。届け出順に、新人で元高校教諭の武田信弘氏(66)は「南九州でも内陸地震が増加するはずで、10年以上の運転延長は危険」。元職の伊藤祐一郎氏(72)は「原発を次世代に引き継がないためにも、2011年の東京電力福島第1原発事故から30年で終了」としている。
運転延長反対を打ち出しているのは3人。いずれも新人で、医師の横山富美子氏(73)、元民放アナウンサーの青木隆子氏(57)、元鹿児島大学特任助教の有川博幸氏(61)。
反対の理由は、横山氏が「事故が起きなくても、稼働するだけで環境汚染をきたす」。青木氏が「老朽化した原発を補強しても安全性が保証されない」。有川氏が「福島事故は国民へ警鐘を促す予告現象だった」と説明している。
現時点で賛否を示していないのは2人。現職の三反園訓氏(62)は「一貫して運転期間は原則40年と申し上げている」。新人で前九州経済産業局長の塩田康一氏(54)は「原則40年との認識の下、必要に応じて県民投票を実施する」としている。