７月１２日投開票の鹿児島県知事選で、県内４１市町村（繰り上げ投票の三島村、十島村を除く）の投票所全１０９０カ所のうち、４４．２％の４８２カ所が避難所と重複していることが１０日、南日本新聞の調べで分かった。大雨災害による住民避難を想定し、各市町村は代替避難所や人員確保などに追われている。

　姶良市選管は１０日、投票所を管理する職員向けの説明会を開き、体育館など投票所施設がワンフロアの場合、間仕切りで分けるよう指示した。脇元地区公民館で設営にあたった議会事務局の竹中裕二次長は「投票所は１階、避難所は２階なのでうまく分けられた」。新型コロナウイルス対策のため、距離をとって並んでもらうため立ち位置の印付けや記載台が隣り合わないようにテープを貼るなどした。
　東串良町は大雨で９日まで、期日前投票所の町保健センターを避難所として開設。通常は全館を避難スペースとしているが、機密保持のため２階のみ避難所とし、１階の投票所とも目隠しのパーティションで仕切った。１２日は、町総合体育館を避難所として同センターの代わりに開設する予定だ。
　投票所２７カ所中１２カ所が避難所と重複する曽於市は、同時に両方の機能を果たせない施設の代替先として、近隣小学校体育館などを確保した。市総務課の今村浩次課長は「多くの職員が選挙事務に従事するため、避難所を管理する人員確保を急いでいる」と話す。
　約半数の投票所が重複する薩摩川内市も「配置する要員が重なっており、人員確保と連絡体制などを確認するよう指示している」とした。
　一方、さつま町は「投票事務と避難所開設が重なると職員の割り振りが難しい」として、地区によっては避難所をあえて投票所がある施設に変更して両立させる計画。「避難所を変更した場合は防災無線でしっかり説明したい」という。
　７割以上の投票所が避難所を兼ねる指宿市は、代替施設への住民移送に備え、マイクロバスを手配した。