社説

[きょう衆院選]あなたの意思を伝えて

2025年10月27日 付

 衆院選はきょう投票日を迎えた。3年ぶりに有権者が判断を示せる機会である。
 日本は今、加速度的に進む少子高齢化やエネルギー政策、地方活性化など多くの難題に直面する。平和をどう守るかも重要なテーマだ。ロシアのウクライナ侵攻が続き、中東の戦火もやまず、世界の分断が一段と進む中で国際的役割も増す。
 国の針路を任せられる政党はどこなのか、選ぶのは主役である主権者の私たち一人一人だ。公約や候補者の訴えをしっかりと見極めて一票を投じ、意思を政治に伝えたい。
 最大の争点は、自民党旧安倍派などによる派閥裏金事件だ。
 自民は裏金事件に絡んだ議員の一部を非公認にしたが選挙戦終盤、公認しなかった候補が代表を務める党支部に活動費として2000万円を支給したことが分かった。公認候補に渡した公認料500万円、活動費1500万円と同額の扱いだ。
 党支部の実態は事実上、資金管理も含め支部長を務める政治家個人の組織の色彩が濃い。野党側が「偽装非公認」などと批判する一方、自民は党勢拡大が目的で候補者への支給ではないと説明する。裏金事件の実態解明に対する姿勢とともに判断材料としたい。
 争点は「政治とカネ」だけではない。
 少子高齢化は、年金や介護など暮らしに直結する社会保障制度も揺るがしかねない。
 2020年は、15歳から64歳の現役世代2.1人で高齢者1人を支える計算だが、40年には1.6人で1人を支えることになる。どう持続可能な制度を整えるか。若者にも切実な問題だ。
 石破茂首相は、国政選挙や国会での論戦も深まらないまま岸田政権が推し進めた防衛力抜本強化の方針を引き継ぐ構えで、防衛費大幅増の財源には増税も予定される。同じように前政権が依存抑制から大転換させた原発回帰路線も継承する。つまりは前政権の3年間の政策や手法も問う必要があろう。
 多岐にわたる論点については、各党の公約を改めて吟味したい。財源や時期、手法など実現性があるのか、負担の問題にも向き合っているか。そういった視点での評価も欠かせない。
 鹿児島県内4選挙区には計14人が立候補した。与野党前職対決や保守分裂といった構図もあり、接戦区が多くなると予想される。自分の投票が政治を変えるという責任感が求められよう。だが県内の直近4回の衆院選投票率は50%台にとどまる。
 全国の衆参両院選の投票率も50%前後で「2分の1民主主義」が定着しつつある。数年、数十年後には社会の主役となる10代、20代など若者の投票率の低さが際立つ。「未来の自分に届ける一票」で政治とつながってほしい。

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