センバツ出場が決まり、塗木哲哉監督を胴上げする大島高校野球部の選手たち=28日、奄美市の同校
【かお】鹿児島県立大島高校野球部監督 塗木哲哉さん(ぬるき・てつや)さん
「監督を甲子園に連れて行きたい」-。その願いを実現させた選手たちの手で、184センチ、105キロの大きな体が3度宙を舞った。県内の離島勢としては初めて、一般選考枠での出場をつかみ取り、「(過去の)教え子たち全ての思いをつなぎながら、これまでやってきた。やっと彼らに顔向けできる」。ほっとした表情で語った。
赴任8年目の54歳。数学教師らしく、「7点以上得点し、2失点以内に抑える試合」と具体的な数字を理想に掲げる。エンジョイベースボールと、考える野球をモットーに、選手一人一人と向き合い、対話を続けてきた。根底には「自分のような選手をつくらないようにしたい」との思いがある。
鹿児島市出身。自身は鶴丸高校時代、野球部を途中で退部した。「今思えば居場所がないと感じたのかも」。進学した鹿児島大学で再び野球と向き合う決意を固めた。投手の練習メニューを考えるなど充実した日々を送ったが、4年時の大会で敗れ、初めて大泣きした。「もっと真面目に取り組めばよかった」
筑波大大学院を経て、指導者の道へ。前任の志布志高校では、進学校で練習時間を十分に確保できない中、勝てる方法を模索し続け、同校28年ぶりの県大会8強へ導いた。
現在は甲子園特有の速い展開に慣れる練習に取り組む。目標の全国ベスト8へ向け「選手が力を発揮できるよう、全力でサポートしたい」と力を込めた。
奄美市名瀬に妻(53)と2人暮らし。