鹿児島大学大学院の学生らが造り上げた木造あずまや=鹿児島市石谷町
鹿児島市の鹿児島大学大学院の学生らが民間企業と協力して、復元や解体をしやすい木造あずまやを造った。同じ部材を組み合わせて造ることで、一部が傷んだときは、取り換えて簡単に復元できる。余分な廃材を減らすなど循環型社会を見据えた建物。同市石谷町に完成したあずまやは、憩いの場として一般利用できる。
同町の工務店ベガハウスから依頼を受け、同大大学院理工学研究科建築学プログラムの鷹野敦准教授(環境建築設計)が実施する授業の一環として、学生5人が設計・製造に参加。昨年10月からデザインなどの構想を始め、3月3日に同社敷地内に完成した。
あずまやはトンネル状で縦横5メートル、高さ2メートル。加工した板を108枚組み合わせている。板に複数の穴を開けることで曲げて利用しやすいほか、通気性や採光にも優れる。板は簡単に取り換えができ、個々に組み合わせることでテーブルやパーティションなどさまざまな用途にも利用できるのが特徴という。
製作時は、パソコンで設計したデータをデジタル加工機に読み込ませて部材を成形する技術「デジタルファブリケーション」を採用した。加工機があれば部材調達が手軽で、建屋の再生もしやすいという。「南小国ファブラボ」(熊本県南小国町)で加工、「VUILD」(川崎市)からは技術的アドバイスを受けるなど産学連携で取り組んだ。
同プログラム修士1年の中村恭子さん(23)は「部材をさまざまな用途に使い回せるよう工夫を凝らし、これからも環境に優しいものづくりを考えていきたい」と話した。