陸軍四式戦闘機「疾風」=南九州市知覧町郡の知覧特攻平和開館
南九州市の知覧特攻平和会館が、展示している旧陸軍四式戦闘機「疾風(はやて)」の保存状態に関する報告書をまとめた。複数の専門家が2017~21年、5回にわたり調査。文献資料などと照合し1944(昭和19)年12月に群馬県の中島飛行機太田製作所で生産された機体と特定した。
44~45年に約3500機製造された疾風は、当時の航空技術を結集した陸軍のエース戦闘機。米軍に接収された5機以外は破壊され、現存するのは同館の1機のみとされる。米国の収集家が入手した機体を日本人が73年に購入。旧知覧町が95年に買い取り、97年から同館で展示している。今回の調査で製造から展示に至る経緯が判明した。
機体内部の骨材にあたる部分から製造番号「1446」の刻印を確認。陸軍飛行第11戦隊(下館飛行場、茨城県)に配備され、フィリピンで米軍に接収された1機と判明した。
73年まで飛行していたが部品交換は最小限で、製造当時に近い状態。南九州市は希少性を評価し有形文化財に指定している。
同館の八巻聡学芸員(航空工学)は「当時の最先端技術が詰まっている。航空遺産として認知され、検証が進むきっかけになれば」と話している。