オンライン交流会で奄美の復帰運動を説明する楠田哲久さん=29日、奄美市名瀬港町の鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室
太平洋戦争終結翌年の1946年に日本から切り離された奄美、十島村、沖縄、小笠原諸島(東京都)の住民が29日、オンラインで初めて交流した。返還の年に生まれた人や復帰運動に携わった約50人が米軍統治下の苦悩や復帰への思いを共有した。
52年2月に十島村、53年12月に奄美、68年6月に小笠原が日本に復帰した。5月15日の沖縄の日本復帰50年を前に「沖縄県復帰っ子連絡協議会」が交流会を企画した。
奄美会場は9人が出席。楠田哲久さん(74)=奄美市=が、密航や断食で日本復帰を求めた島民の運動を紹介した。十島村平島出身で、10代のころ同村中之島と奄美大島で暮らした日高重成さん(86)=鹿児島市=は十島村役場から参加した。「米軍支配下の混乱する中、青春を過ごした。人生の一コマ」と振り返った。
「奄美群島の日本復帰運動を伝承する会」の花井恒三さん(74)=奄美市=は「占領された経験のある地域が初めてそろい、意義がある。来年の奄美復帰70年に向け、結びつきを深めたい」と語った。