80年前、小学生も戦争に巻き込まれていた…衝撃受けた小5男児は新聞に投稿、91歳体験者との交流が始まった

2023/05/05 11:55
下村ツル子さん(左)から防空壕跡を案内される浜田光汰君=鹿屋市野里町
下村ツル子さん(左)から防空壕跡を案内される浜田光汰君=鹿屋市野里町
 鹿児島県鹿屋市の寿北小学校5年浜田光汰君が、同市野里町の下村ツル子さん(91)から戦争体験談を聞いた。浜田君が戦争関連を題材に投稿した本紙「若い目」を読み、下村さんが交流を働きかけたことがきっかけ。下村さんは「今を生きる人々には、幸せをかみしめて暮らしてほしい」と伝えた。

 投稿は4月9日付に掲載された。同市内の戦争遺跡を巡るイベントに参加した際、軍用機や物資を空襲から守るための掩体壕(えんたいごう)造りに、小学生が動員されていたことを学習。当時の苦労に思いを寄せ「80年前に小学生だった人に、戦争時代の生活について聞いてみたくなりました」とつづった。投稿に感銘を受けた下村さんが手紙を送り、同月29日に自宅へ招いた。

 下村さんは野里町出身。小学校に相当する国民学校時代の思い出として「『アメリカが下にあるから踏みつぶすつもりで歩きなさい』と、毎日のように行進があった」と回想した。「先生は厳しく、男子は死んでしまうのではないかと思うほどたたかれることもあった。暴力が当たり前で嫌だった」と顔をしかめた。

 空襲の恐れから防空壕で寝ていたと明かし「今は空襲におびえることもなく、食料もいっぱいあって幸せな時代だと感じる」と強調。自宅近くに残る防空壕も案内し「何か伝わり、感じてくれる機会になればうれしい」と語った。

 浜田君は「大人が勝ち負けを決める戦争に子供たちが巻き込まれる現実を改めて感じた。体験談を聞かせてもらい、記憶を受け継ぐ大切さを考えた」と話した。

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