追悼の辞を述べ席に戻る尾辻秀久参院議長=15日、東京都千代田区の日本武道館
鹿児島県南さつま市出身の尾辻秀久参院議長(82)は15日の全国戦没者追悼式で昨年に続き「追悼の辞」を述べた。父親が32歳で戦死した遺族の一人として「今、私たちがしなければならないのは犠牲となった方々を忘れないことと戦争を絶対起こさないこと」と訴えた。
尾辻氏は3歳のときに父を失い「焼け野原の中、おなかをすかせて大きくなった」と貧しい幼少期を振り返った。母も41歳で亡くなり、「戦没者の妻の皆さんが母親代わりになってくれた」と述べた。
遺骨収集の様子にも触れ、「私たちは生きるか死ぬかという中を肩を寄せ合い生き抜き、平和で豊かな国を造った」と強調。「平和を守るため、経験を次の世代に語り継ぐ」と誓った。
尾辻氏は追悼の辞を「1週間ほど思案した」とし、「戦争の悲しさやつらさを知る者として、戦争だけはしてはいけないということを強く言い残しておきたかった」と話した。
霧島市出身で父が戦死した野村哲郎農林水産相(79)も献花した。