110番映像通報システムなどの通報を受理する通信指令室=9日午後3時、鹿児島県警本部
2023年4月に全国の警察で本格導入された、事件・事故現場などの画像をスマートフォンで警察に送ることができる「110番映像通報システム」を使った鹿児島県警への通報は23年は44件(試行期間含む)だった。総受理件数に占める割合は0.04%と少ないものの、山岳遭難者や行方不明者の捜索で力を発揮した。災害時の情報収集にも有効だとして、県警は一層の浸透を目指す。10日は110番の日。
県警によると、映像通報44件のうち、迷子・行方不明19件、交通関係17件、山岳遭難・航空機事故4件、不審者・不審車両情報4件だった。
23年春、行方不明になった少年の写真を依頼主に送ってもらったケースでは約10分で発見に至った。同年秋には、山で遭難した成人女性に写真送信を依頼。位置情報などから捜索地点を絞り込み救助した。オスプレイ墜落でも情報収集に生かされた。
映像通報は、110番を受けた警察が通報者の同意を得て映像送信用サイトのURLをショートメッセージ(SMS)で送信し、写真や動画を送ってもらう仕組み。通報前に撮影した映像も送信可能で、衛星利用測位システム(GPS)機能で通報者の位置確認もできる。能登半島地震では災害現場の状況把握に活用されている。
仕組みをより多くの人に知ってもらうため、県警は10日午後1時、鹿児島市のJR鹿児島中央駅東口で映像通報の模擬対応訓練のイベントを開く。竹原裕二通信指令室長は「動揺する中で一報をくれる人が多く、映像による正確で詳しい情報は的確な初動対応につながる」と話した。