鹿児島での「オデッサ」上演の実現に向けて、鹿児島市ふるさと大使の立場をフル活用させていただきます!
■「俳優・迫田孝也(鹿児島市出身)のオモ語り」=南日本新聞2024年3月10日付
エンターテインメントってなんて奥が深いんだろう。いや、エンタメに限らず何か一つの事を追求する中で、その奥深さに思い知らされることはありますが、この度の三谷幸喜さん新作舞台「オデッサ」ではこれでもかというほどそれを味わいました。
稽古場での創作の日々、はっきり言ってわれわれの頭はパンク状態でした。英語と鹿児島弁と字幕、日々変わっていくセリフ、立ち位置、表の物語と裏の物語。全てはこの作品をより面白く、より質を上げて観客に届けるために。分かっちゃいるんですが、新しいことへの挑戦はとにかくめちゃくちゃエネルギーが必要ですよね。
慣れない英語と鹿児島弁に真摯〔しんし〕に向き合い続けた柿澤勇人さん。芝居だけじゃなく、できるだけ簡潔に自然な英会話として観客にどう届けたらいいかを模索し続けた宮澤エマさん。どんな芝居にも合わせて音楽を奏でてくれた荻野清子さん。ナレーションで参加してくれた横田栄司さん。この長丁場の舞台を支え続けた舞台部、映像部、照明部、音響部、衣装部、ヘアメーク部、制作部の皆さん。そしてこの作品と出合わせてくれた三谷幸喜さん。
総勢20名ほどの、このカンパニーだったからこそ多くの難題を乗り越え完成させることができたんだと思います。皆さんとの物作りは毎日が本当に刺激的で楽しく、ずっと続けていたいと思いました。
そしてこの作品を初めて世に送り出した1月8日。どんな反応が返ってくるのか? 楽しんで見てくれるのか? 果たして言語は通じるのか? 不安でいっぱいな初日だったことを覚えています。ところが! いざ始まってみると物語が進めば進むほど笑いは連鎖し、物語の後半(私が一番プレッシャーを感じていたシーン笑)では食い入るように見ている観客の雰囲気をはっきりと感じられ、終演後はちょっと照れくさくなるほどの大きな拍手に包まれました。こんなにも楽しんでくれる作品だったのかと、予想をはるかに上回る観客の反応に心底驚きました。こんな誤算ならもっともっと味わいたいと思いましたね(笑)。皆さん本当にありがとうございました。
そしていつかこの作品を鹿児島で上演することが今の目標です。鹿児島の皆さんに鹿児島弁が飛び交う極上の舞台を楽しんでもらう、そんな夢のような時を期待してお待ちください!