次期衆院選が目前に迫り、鹿児島3区選出の立憲民主・野間健氏(65)と奪還を期す自民・小里泰弘氏(66)=比例九州=の両陣営が神経をとがらせている。農林水産業の従事者が多い地盤とはいえ、小里氏が農相に就いた影響が読みにくいからだ。双方とも支援拡大へ躍起となっている。
野間氏が約1万5000票差で制した前回2021年と同じ一騎打ちになるとみられる。「ひっくり返すには大臣ポストしかなかったのでは」。新政権の閣僚人事を知った野間氏陣営の一人は険しい表情を見せた。「勝負をかけてきた」と警戒心を隠さない。
対する小里氏陣営。関係者の多くは「肩書の効果は大きい」と就任を喜ぶ。直前まで農山漁村地域活性化担当の首相補佐官を務めるなど農業分野で経験を積む経歴から、「第1次産業の活性化には選挙区で勝ち農相を続けることが重要だ」(後援会幹部)と鼻息は荒い。
ただ、就任直後で農相としての実績がないだけに「追い風になるかは分からない」との見方も。公務などが選挙日程を制約する可能性があり、長く支援する県議は「就任は大きなプラスにならないのでは」と懸念。前回衆院選前に週刊誌が取り上げた女性問題の影響を指摘する声は今も聞かれる。
肝心の農林水産業従事者にはどうアプローチしていくのか。野間氏の有力後援者は「国会でも農業関係の質問をよくしており、前回は支持してくれた農家が多かった。今後も地道に地域を回り、支援の輪を広げたい」と気を引き締める。小里氏陣営の別の後援会幹部は「前回より戦いやすくなったが、組織を固めなければならない」と油断を戒めていた。