短期決戦事実上のスタート 「また国会で」それぞれの政策実現へ決意胸に前職奔走 地元の実働部隊には新たな「逆風」懸念の声も

2024/10/10 06:00
 9日の衆院解散で議員バッジを外した鹿児島県関係の前職7人は、短期決戦を勝ち抜こうと地元へ急いだり、党務に奔走したりした。

 自民党幹事長を務める森山裕さん(79)=4区=は党務でほぼ地元に戻れない。「不安はある」とした上で「都市と地方とのバランスを掲げる石破政権の政策実現のため、議席獲得に努力する」と力を込めた。

 農相の小里泰弘さん(66)=自民、比例九州=も公務のため、地元入りは11日から。「地域と国のため運命を懸けた闘い。できる限り時間を捻出して地元で支持を広げる」と語った。

 対する立憲民主党の野間健さん(66)=3区=は「国民最優先の政治を取り戻す」と強調。「現職大臣という巨大な権力との闘い。屈することなく立ち向かう」と地元に向かった。

 結論が持ち越されていた2区の自民公認は保岡宏武さん(51)=自民、比例九州=に決まった。無所属の三反園訓さん(66)は「政見放送ができないなど厳しい」とし「自民会派で国道226号整備促進などに取り組んできた。一生懸命支持をお願いするのみ」。

 県連の森山会長と野村哲郎選対委員長から「公認はゴールじゃない」と激励を受けた保岡さんは「農林水産業の所得倍増を重要テーマに全身全霊で勝ち抜く」と意気込んだ。

 自民本部で公認証を受けた宮路拓馬さん(44)=1区=は他の候補者らと「また国会で」と握手。「裏金問題で逆風だが闘いはこれまでの活動の積み重ね。総力戦で臨む」と強調した。

 川内博史さん(62)=立民、比例九州=は「中小企業などへの分配を通じ経済を成長させる路線への大転換が必要」とし、「政治を変えるため絶対に負けられない」とリベンジを誓った。

 衆院選に立候補を予定する鹿児島県内の各陣営は準備を急いだ。鹿児島3区の立候補予定者の薩摩川内市の事務所では、スタッフが書類の確認などの作業に追われた。関係者は「どたばた選挙だが、万全の準備をして臨みたい」と気を引き締めた。



 他方、鹿児島県議会で9日、県警不祥事を巡る調査特別委員会(百条委員会)の設置決議案の否決に回った自民議員からは、衆院が解散され事実上の選挙戦スタートと重なる日程となり、「最悪だ。選挙に跳ね返ってくる」と逆風を懸念する声が続出した。

 現時点での設置を見送る立場の自民県議団には、これまでに約100件の意見や苦情が寄せられた。南日本新聞にも自民支持者から「がっかりだ」「県警の身内の改善策だけでは改革できない」との声が複数届いている。

 県議は地元の最前線で支援を呼びかける。有権者から設置を求める声を聞くという複数の自民議員は「裏金問題で逆風の中、火に油を注ぐタイミングになった」。他方、「国政と県政は別物。影響は限定的ではないか」(ベテラン)との見方も聞かれた。

 同県議団の西高悟会長は否決後、「県警の議会答弁と裁判での説明に食い違いがあれば、設置を検討する考えに変わりはない」と強調。衆院選に向けては「有権者に問われれば百条委を全否定しているわけではないことを説明したい」と述べた。

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