大雨で土砂崩れが起きた藺牟田池沿いの舟見岳=18日、薩摩川内市
秋の行楽シーズンを迎えているが、鹿児島県薩摩川内市祁答院の藺牟田池自然公園内のキャンプ場は、6月の大雨の影響で休止が続く。「復旧はいつ」と気をもむ声が南日本新聞に寄せられた。市によると、現在は復旧工事中で再開時期は未定。土砂で埋まった周辺の市道の復旧が前提となる。
大雨が降った6月下旬、藺牟田池の外輪山の舟見岳で長さ300メートルにわたって土砂崩れが発生した。土砂は池を一周する市道や山に登る市道をふさぎ、池にも流入。約300メートル離れたキャンプ場の近くでも、道路が崩れた。現在も一部の道路の通行止めや登山道の閉鎖が続いている。
市によると、国の査定を経て、市道の土砂を取り除く工事を9月上旬に開始した。10月17日時点の進捗(しんちょく)状況は約9割で、10月下旬まで続く見込み。山の斜面に大型の土のうや防護柵を設ける2次被害対策も必要なため、通行止めの解除時期は未定という。
キャンプ場の一部にも土砂が流れた。池を一周する市道に面し、別の場所で土砂崩れが起きて市道が埋まれば利用者が孤立する恐れがある。現在は工事車両や資材を置いていることもあり、安全確保のためにも休止しているという。
市の集計では、キャンプ場の利用者数は2023年度は4222人。アウトドアブームやコロナ禍により、5年前の3倍超となった。近くで商店を営む平原浩市さん(65)は「今年の夏は、池を訪れる人が例年の半分ほどに減ったように感じる」と影響を語る。
藺牟田池には国指定天然記念物の泥炭形成植物群落や、絶滅危惧種のベッコウトンボの生息地があるが、いずれも影響はないとみられる。市の担当者は「藺牟田地区のシンボル的な場所。なるべく早く復旧させたい」と話した。