当選を祝い、支援者と万歳をする田中良二氏(中央)=20日午後6時ごろ、薩摩川内市西開聞町
任期満了に伴う鹿児島県薩摩川内市長選と市議選は20日、告示された。市長選は無所属現職の田中良二氏(67)=自民・公明推薦=以外に立候補の届け出はなく、無投票で2期目の当選が決まった。無投票は2004年の市町村合併後、初めて。
田中氏は同市田海町出身。27年間の市職員、4期13年間の県議を経て、20年の市長選で新人4人による争いを制して初当選した。コロナ禍の対応や、川内港久見崎みらいゾーンなど産業用地の整備促進に力を入れた。23年12月には、九州電力川内原発1、2号機の原則40年を超える運転延長を容認した。
今回は少子化対策・子育て支援や、産業人材確保・移住定住促進を公約の柱に掲げた。幅広い企業・団体から支持を取り付けた。
再選が決まり「子どもたちが夢を持てるまちづくりを目指す」と語った。無投票については「予想していなかった」とした上で、市民との積極的な対話など4年間の実績が実を結んだとの考えを示した。
市議選は定数26に現職17、元職4、新人11の計32人が立候補した。党派は公明2、共産、国民民主、幸福実現が各1、他は無所属。
投票は27日午前7時から63カ所であり、終了は午後5〜7時と投票所によって異なる。午後8時から順次サンアリーナせんだいなど2カ所で開票される。同日選となる衆院選後に開票するため、当落は28日未明に判明する見通し。
期日前投票は21〜26日午前8時半から(一部除く)。市役所本庁と甑島振興局は午後8時、4支所と樋脇公民館、里・鹿島市民サービスセンターは同6時まで。
19日現在の選挙人名簿登録者数は7万5652人(男3万6636人、女3万9016人)。市議選の前回の投票率は60.00%。
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任期満了に伴う20日告示の薩摩川内市長選は、2004年に1市4町4村が合併して以降、初めてとなる無投票で田中良二氏(67)=無所属=の再選が決まった。市民からは「現職への評価の表れ」との見方の一方、「議論がなく残念」との指摘も聞かれる。
「無投票当選という大きな当選の仕方をした。感謝している」。午後5時過ぎ、田中氏が同市の事務所で支援者に伝えると、大きな拍手が起きた。
3月に立候補を表明。他に目立った動きはなく、早くから無投票がささやかれた。「特に失策はない」として選挙戦となっても再選は堅いとの声もあった。
20日は出陣式の後、街宣車で市内を巡回。街頭演説で支持を訴えた。21日以降の計画も立てていたが、1日だけの選挙運動となった。後援会長の向原翼さん(80)は「堅実な市政運営への信頼と評価の証し。今後4年間への高い期待度の表れでもある」と語った。
一方で、市内の自営業女性(43)は「この4年間で市長が何をしたのか見えづらい。選挙で考えの違う候補者と比較する機会がなかった」と残念がる。
九州電力川内原発が立地する同市では過去の市長選で、原発に賛成、反対両派の一騎打ちとなったこともある。田中氏は第一声で、九電に安全運転などを要請する方針を示した。川内原発建設反対連絡協議会の鳥原良子会長(75)は「もっと原発に関する議論をしてほしかった。原発に頼らないまちづくりを模索してほしい」と話した。