諏訪ノ前遺跡で見つかったトイレ遺構。穴の底部分にふん便が堆積した層がある=阿久根市波留(鹿児島県埋蔵文化財調査センター提供)
鹿児島県埋蔵文化財調査センターは23日、阿久根市の諏訪ノ前遺跡で約700年前のトイレとみられる土坑(どこう)が見つかったと発表した。内部の土壌から寄生虫の卵や果物の種が確認された。科学分析で裏付けられた遺構は南九州で初めて。
土坑は計6基で直径約1.6メートルの円形で、深さ約1.3メートル。そのうち2基には底に10センチ前後のふん便の堆積層があった。年代測定と土壌分析の結果、14世紀前後の遺構で、人体に寄生する回虫や鞭虫(べんちゅう)の卵、ダイコンやソバ属の花粉を高濃度で検出。ヤマモモの種や小さな巻き貝のふたも見つかった。
遺跡は標高34メートルの台地上にあり、鎌倉時代から安土桃山時代にかけての集落跡が確認されている。土坑は約6600平方メートルの調査範囲内に散らばっており、いずれも建物跡と考えられる柱穴の外側にあった。
調査は南九州西回り自動車道の建設工事に伴い2023年度に実施した。11月2日午後1時、鹿児島市の県立図書館である「かごしま遺跡フォーラム講演会」で報告する。要事前申し込み。上野原縄文の森=0995(48)5701。