つぼみをつけるクニガミシュスラン=10月26日、徳之島の井之川岳(徳之島虹の会提供)
自衛隊と米軍が10、11月に行った日米共同統合演習で、世界自然遺産に登録されている鹿児島県徳之島の山中で訓練があり、期間中に希少植物1株が消失していたことが20日、分かった。防衛省は「部隊が踏み荒らした事実は確認できていない」としている。
同省統合幕僚監部によると、世界遺産に登録されている井之川岳と天城岳、犬田布岳で10月25~28日、山地機動訓練を行った。
自然保護に取り組むNPO法人「徳之島虹の会」は26日午前、井之川岳でつぼみをつけたクニガミシュスラン1株を撮影。27日午後に再び訪れると、踏み荒らされたような跡があり株が消失していた。最後の開花確認は約10年前だった。
クニガミシュスランは白い花をつける全長10~15センチの地生ラン。環境省レッドリストで絶滅危惧ⅠBに分類されている。
訓練は隊員が小銃などを持ち、山中を徒歩で進む。戦闘や災害の際、速やかに展開する能力の向上を図る。当初は23~25日に計画されていたが、日程が変更となった。27、28日には同じ地区で偵察訓練もあった。
現場は自然公園法に基づく特別保護地区で、動植物を捕獲・採取することができない。山中への立ち入りは可能。環境省と防衛省は訓練内容を事前に協議し、環境省は実施について「異存ない」と回答した。