鹿児島県は6日、鹿児島市と薩摩川内市にまたがる八重山周辺で風力発電施設を計画する事業者が知事意見や経済産業相の勧告を受けて見直した事業計画案について、知事意見38項目のうち7項目が反映されていないとの認識を示した。事業者と協議したが、修正に応じなかったという。
事業者は「知事意見は最大限考慮した」としており、来春にも環境影響評価の最終段階である評価書を経産相に届け出る。
県が未対応としたのは、風車から1キロ内の住居の騒音と景観への影響の7項目。県は11月29日付で、7項目で環境影響が十分に考慮されていないとする文書を事業者と経産省に送った。
制度上は評価書に知事意見を反映するかは事業者の判断で、経産相が必要に応じ変更命令を出す。6日の県議会一般質問で塩田康一知事は、「経産相は知事意見を尊重してもらいたい」と述べた。
事業者は、ヴィーナ・エナジー(本社シンガポール)の子会社「かごしま郡山風力合同会社」。見直し案では風車を9基から8基にした。風車から1キロ内の住居は58軒から51軒になった。
■県求める協議書事業者提出せず
八重山周辺での風力発電施設を計画する事業者は、「県風力発電施設の建設等に関する景観形成ガイドライン」で求める協議書を提出していない。ガイドラインに法的拘束力はないが、県は評価書を届け出る前の提出を求めている。
風車設置では、景観を損なわず、山の稜線〔りょうせん〕を乱すことのないよう求める。県は「協議書が提出されないと基準を満たしているか判断できない」としている。