事業再生ADRが成立し経営再建に乗り出した山形屋=鹿児島市金生町
私的整理の一種「事業再生ADR」による経営再建に取り組む老舗百貨店「山形屋」(鹿児島市)の岩元修士社長(55)が10日、5月のADR成立後、初めて取材に応じた。この半年余りを振り返り、「これまで売り上げに目が向きがちだった部分が変わり、利益意識が高まった。前に進んでいる実感がある」と手応えを語った。
事業再生計画に基づき、6月に山形屋ホールディングス(HD)を設立。役員5人のうち3人をメインバンクの鹿児島銀行や同行関連会社などから迎え、グループ24社を15社まで整理した。HD取締役でもある岩元社長は「外部の視点が入ったことで、一番重要なガバナンス(企業統治)体制の強化が進み、基盤づくりができた」と話す。
かぎは生産性の向上とみる。「お客さまの満足感は損なわない形で、少人数体制を構築したい。それができればわれわれのビジネスモデルは継続できる」。早期退職は募らない自然減での人員削減に加え、専門店誘致による社員の配置転換、デジタルの活用による業務効率化を進めるという。
社内の意思統一のため、従業員との対話や意見を聞く場を増やした。「全員の力を100%発揮させることが再建につながる。簡単な道のりではないが、一日でも早く完了したと県民に伝えられるよう尽力したい」と述べた。