PTA行事、進む選択と集中…「前例踏襲さようなら」…外部委託も取り入れ、楽しめる工夫が広がる

2024/12/29 20:33
PTCA主催のイベントで鹿児島南特別支援学校生(中央)のオーナメント作りをサポートする学生ボランティア(左)=鹿児島市の同校(画像は一部加工してあります)
PTCA主催のイベントで鹿児島南特別支援学校生(中央)のオーナメント作りをサポートする学生ボランティア(左)=鹿児島市の同校(画像は一部加工してあります)
 保護者と教職員でつくる任意団体PTAが岐路に立たされている。少子化で学校の統廃合が進み、学校単位のPTA数は右肩下がり。共働き世帯が主流となり、活動を負担に感じる保護者は少なくない。全国では上部団体を脱退する動きも広がる。鹿児島県内の現状を追った。(連載「岐路に立つPTA~鹿児島の現場から③」より)

 会員の負担を減らしつつ、いかにPTA活動を続けるか-。各地で組織の在り方を見直す動きが広がる。

 12月中旬の休日、鹿児島市の鹿児島南特別支援学校に在校生と家族15組が集まった。障害のある子ども向け美術教室「ピカソ」の講師を招き、キャンドルやリース作りを体験。大学生ボランティアの応援ももらった。

 主催したのは同校のPTCA。2023年度の開校を機に、保護者と教員に地域(Community)を加えた組織にした。地域の団体や学生、社会福祉法人が参加し、人手や金銭面で協力する。

 保護者と教員には毎年度、入会意思を確認する。年会費3000円で、進路に役立つ施設への視察研修やイベントに参加できる。従来の専門部をなくし、恒例行事を担当する活動リーダーを新設。なり手がいなければ、行事自体を開催しない。

 加入率は初年度が8割、本年度は6割だった。山田拓也会長(49)は「選択制にしたことで、みんなが会の必要性と価値を、役員は会員ニーズと活動の目的を考えるようになった。前例を繰り返すのではなく、時代と共に柔軟に変化する組織にしたい」と語る。

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 同市の錦江台小PTAは、今春からボランティア制にした。ほぼ全ての世帯が加入するが、執行部以外の係は決めない。従来の活動は減らし、加入・非加入に関わらずイベントや活動ごとに協力者を募る。

 1日に開いたマルシェは、執行部9人のほか、募集に手を挙げた6人で運営。キッチンカーを呼ぶなど従来のバザーから、親子で楽しめる催しに変えた。

 会長4年目の内大久保清一さん(47)は「形が変わっても、先生と保護者が協力して活動する組織は必要」と強調する。PTAは年ごとに人が入れ替わるゆえに改革しづらいが「手順を踏み、だめならまた見直せばいい」と考えている。

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 活動の一部を、外部に頼る動きも広がる。PTA業務の委託先紹介や相談などに応じる「PTA’S(ピータス)」は、鹿児島県内を含め全国約2100のPTAが利用する。4年前のサービス開始から利用者は右肩上がり。学校行事の受付や警備の代行、通学路の立哨の当番シフト作成、会議などのオンライン化が人気を集める。

 役員経験をきっかけに発案した増島佐和子代表(53)は「PTAの業務の中には、保護者がやらなくてもいい作業も多い。効率を上げて負担を減らすことで、前向きに参加できる仕組みはつくれる」と提言した。

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