災害ボランティアセンターで業務を支援する池下真也さん(左)と山下聡さん=16日、石川県珠洲市
石川県の能登半島を震源とするマグニチュード7.6、最大震度7の地震が発生してから1月1日で1年となる。奥能登地方は地震と津波に加え、9月には記録的な豪雨に襲われ、つぶれた家屋やがれきが野ざらしになったままだ。復興を手伝う災害ボランティアを受け入れるため、各市町のボランティアセンター(VC)では、鹿児島など全国の社会福祉協議会から職員が派遣され、運営業務を支援している。
金沢市から専用バスで片道3時間。能登半島先端の珠洲市には事前登録した県内外の災害ボランティアが毎日訪れる。ピーク時に1日200人を超えたボランティアは、12月中旬には30~40人に減っていた。受け入れるVCでは社協職員が被災者のニーズとボランティアの技能を調整して人員を振り分ける。ボランティアは倒壊家屋から貴重品を取り出したり、災害ごみを集積所へ搬出したりする。
9月21日の豪雨では、河川の氾濫や土砂崩れが相次いだ。壊れたままの水路から水があふれ、想定外の場所で水害が起きた。珠洲市社協の塩井豊事務局長(60)は「少しずつ片付き、修繕も進んでいたのに、豪雨が追い打ちをかけた」と復興が進まない現状を説明する。長引く避難生活、変わらぬ惨状-。被災者の心理的負担は日に日に増しているという。
12月16日、災害ボランティア十数人が同市上戸町の永禅寺周辺に向かった。崩土と浸水で堆積した土砂が、3カ月たってやっと取り除かれた。
要請した寺の細川行慧住職(79)は「みんな被災して檀家(だんか)には頼れず困っていた。ボランティアが来てくれて本当に助かる」と感謝。福井市から訪れた介護職高本郁子さん(68)は「隣県の災害が人ごととは思えず、4月から仕事の合間に来ている。珠洲では36回目。少しでも力になれば」と汗を流した。
珠洲市社協によると、市民からの要請は7200件を超える。電話や面談で困りごとを聞き取って現地を調査し、必要な人材をマッチングしていくのが業務の流れだ。12月13~17日、鹿児島県社協から派遣された池下真也さん(49)は聞き取り、志布志市社協の山下聡さん(43)は現地調査を担当しVCを支えた。VCはすでに6000件超のニーズに応え、キャンセルを除いた残りは、対応中を含め140件余り。年明けから活動を週末に限定する。
鹿県社協は九州ブロックの幹事を務め、4~12月に計16回、県社協と市町村社協の職員延べ42人を派遣した。2回目の派遣を経験した池下さんは「地域のつながりが大事だと再認識した。障害者の個別の避難計画も必要だ。被災地のことを忘れず、自分たちの地域で何ができるか考えたい」と話した。
珠洲市社協は、緊急支援金の寄付も募っている。同市災害ボランティアセンターホームページhttps://ishikawa-vc.jimdofree.com