マンション販売好調だけど管理会社任せにしてない?…住民の無関心が資産価値下げる 「認定制度」で将来見据えた計画を

2025/01/20 11:25
マンションが立ち並ぶ鹿児島市街地=17日、鹿児島市新照院町
マンションが立ち並ぶ鹿児島市街地=17日、鹿児島市新照院町
 鹿児島市内で分譲マンションの販売が活況だ。利便性を求める家族世帯や高齢者からの需要が高まる中、管理体制の在り方が課題に上がる。修繕時の積立金不足や老朽化対策として、国や自治体は、適正管理につながり税や金利の優遇がある認定制度を始めた。専門家は「無関心では大事な資産の価値が下がりかねない。住民主導で先々を見据えた計画を」と呼びかける。

 2022年の改正マンション管理適正化法により、自治体は基準に沿うマンションの管理計画を認定できるようになった。修繕積立金の滞納処理や長期修繕計画の作成・見直し、居住者名簿の整備などを満たせばお墨付きを与え、一部住宅ローンでの金利引き下げや大規模修繕工事翌年の固定資産税の減額が受けられる。不動産市場での資産価値向上も期待できる。

 同制度は、県内では鹿児島市が23年度に導入し24年末までに2件認定した。市によると、28年度末には約7200戸が築40年以上になる。市は制度の周知とともに、管理組合へのアドバイザー派遣や専門家による相談窓口開設で管理の適正化を後押しする。

 マンション管理士の上野真弓さん(61)=同市=によると、県内でも修繕時の積立金不足でローンを組む事例があった。上野さんは「新築時は修繕積立金を低く設定する物件も多く、年々費用が増えることを想定している人は少ない。資材高を考慮すると、5年ごとに長期修繕計画を見直すことが重要」と指摘する。

 上野さんが住むマンションの管理組合は、昨年9月に県内初の管理計画認定を受けた。基準項目にある修繕積立金の値上げや居住者名簿の作成は、組合員からの同意が必要。市のアドバイザー経験もある上野さんが管理計画の重要性や認定のメリットを丁寧に説明し、1年半かけて申請にこぎ着けた。

 専門性が高い長期修繕計画では、業務委託する管理会社の協力をもらった。あなぶきハウジングサービス鹿児島支店の今津昂平係長(33)は「実績やノウハウで支援するのが役割。組合が積極的に関わると時間がかかる反面、要望に添うものになるためトラブルになりにくい。お互い協力する形が理想」。

 認定申請は住民の意識向上にもつながった。管理組合の増田孝理事長(51)は「住民が複数の業者に見積もりをとる習慣ができた。手間はかかるが費用が抑えられた」と実感を語る。上野さんは「協力的な若い世代も増えた。管理会社任せにせず、自分のこととして考える大切さを知ってほしい」と話した。

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