山鹿真人校長にあいさつしながら登校する児童ら=鹿児島市薬師2丁目の西田小学校
今年12月に創立150年を迎える。卒業生で京セラ創業者の故・稲盛和夫さんは、110周年の記念講演で「伸ばす心の一筋に 強く正しく美(うるわ)しく 行手幸あり光あり」の部分を取り上げ、「世界のどんなに難しい宗教、哲学を勉強しようとこの(歌詞の)通り。(心のありようは)真・善・美でなければならない。世界一すばらしい校歌だ」と絶賛している。
校歌1番の「南洲翁」は西郷隆盛のことだが、2番の「敦子(あつこ)の刀自(とじ)」・税所敦子のことはあまり知られていない。宮中に出仕し「明治の紫式部」と称された京都出身の歌人。亡夫の故郷・鹿児島市西田町に10年ほど住み、姑(しゅうとめ)らに尽くした才徳兼備の人だった。「刀自」は女性に対する敬称。
作詞の救仁郷断二は元大崎町長で、1920年から40年まで西田尋常小に勤務した。維新ふるさと館(鹿児島市)の佐々木幸男副館長(63)は「16年に『税所敦子刀自 傳記文集歌集』が出版され、功績が広く知られるようになった。救仁郷も影響を受けたのでは」と推測する。
郷土の偉人・西郷隆盛が登場する「南洲翁を仰ぎつつ」の部分が好きという、6年生の武田鮎奈さんは「6年間親しんだ校歌もいよいよ最後。卒業式では堂々と歌いたい」と話した。
■メモ 1875(明治8)年、鹿児島市常盤町にできた「武小学校」が始まり。門札は西郷隆盛が揮毫したが、焼失した。87年に西田尋常小学校として西田町に設立し、1913年に現在地に移転。47年に西田小学校と改称。児童数は573人(2025年1月現在)。
●鹿児島市立西田小学校校歌
作詞・救仁郷断二
作曲・前田 久八
一
晨(あした)うららに 武の丘
照らす誠の 影させば
南洲翁を 仰ぎつつ
伸ばす心の 一筋に
強く正しく 美(うるわ)しく
行手幸あり 光あり
二
夕月冴えて 甲突の
川のほとりに 輝ける
敦子の刀自を 慕いつつ
清き心を 心とし
いそしむ我等が 学舎は
行手幸あり 光あり