養育費払わず、裁判手続きにも出頭せず…元夫の不起訴処分は「不当」、検察審査会が議決「捜査も不十分」 鹿児島県警・情報漏えい事件の一つ

2025/01/28 06:03
告発のために集めた資料を手にする40代女性=2024年10月、志布志市内
告発のために集めた資料を手にする40代女性=2024年10月、志布志市内
 離婚後の養育費不払いを巡り、預貯金などの財産を調べる裁判手続きに債務者の元夫が出頭しなかったとして、鹿児島県志布志市の40代女性が民事執行法違反の疑いで告発し鹿児島地検鹿屋支部が不起訴処分にした事件があり、鹿屋検察審査会は27日までに「不起訴不当」と議決した。理由は「元夫の虚偽陳述の疑いが考えられ、捜査も不十分と思われる」としている。14日付。

 女性の検審への申立書などによると、裁判所が2021年12月、元夫を財産開示手続きに呼び出したが、出頭しなかった。女性は22年8月、志布志署に告発。23年9月に同支部が不起訴処分とした。

 20年4月施行の改正民事執行法により、財産開示手続きに出頭しなかった場合、刑事罰が科されるようになった。女性によると、担当の警察官や副検事は「前例がない。裁判所からの書類が法的効力のない方法で郵送され、元夫は出頭日程や場所を認識できなかった。さらに、病気の影響で引きこもっていた」などと説明したという。

 申立書では「不出頭の立件事例はある」との事実を指摘。また裁判所は書類を「付郵便送達」と呼ばれる法的効力のある手段で郵送しており、元夫が意図的に受け取っていない可能性を否定できないなどと主張した。警察側が取り寄せた元夫の医療記録に記されている診療期間と、裁判所が書類を郵送した時期は重なっておらず、「正しく捜査したか疑わしい」と訴えた。

 この事件は、県警の元巡査長=懲戒免職=が23〜24年に、事件情報を外部に100件超漏らしたうちの一つ。女性は「第三者が見れば自分が被疑者だと誤解するような表記で漏れた。当時の署長に直接説明を求めようとしたが、署員に止められた。当初から捜査に消極的な印象があった上、検審の議決も重なり、不安を覚える」と話した。

 鹿児島地検の嘉手苅拓也次席検事は「必要な捜査をした上で適切に対応する」とコメントした。

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