奄美群島の全住民10万人避難に14日間 武力攻撃予測事態を想定し、県が試算発表「日数短縮の検討を続ける」

2025/01/29 07:00
関係機関が集まり避難の計画を確認する図上訓練=28日、鹿児島県庁
関係機関が集まり避難の計画を確認する図上訓練=28日、鹿児島県庁
 鹿児島県は28日、他国による武力攻撃の可能性がある「武力攻撃予測事態」の認定を政府が検討している段階との想定で、奄美群島の住民約10万2000人(2024年4月1日時点)が県本土に避難する際、14日間かかるとの試算を公表した。県は「輸送力拡充による日数短縮の検討を続ける」としている。試算に基づいて同日、沖永良部島と県庁で国民保護訓練を実施した。

 県は訓練で奄美群島の避難・救援計画案を示した。政府が沖縄県全域と奄美群島を要避難地域とし、対象地域の船舶・航空事業者は住民避難を優先する想定。

 住民は沖縄・奄美航路のフェリー6隻で約3万人、奄美群島で運航している4社の航空機計21機で約7万人が県本土まで避難する。県の試算では増便しても避難完了まで14日かかる。訓練に参加した船舶・航空事業者からは「(乗船する)港を増やすことでもっと多くの人を運べる」「他県で使っている機体を回せる」といった声が上がった。

 避難は入院患者、福祉施設の入所者、乳幼児、高齢者といった「要配慮者」を優先する。各市町村と県の集計によると入院患者は約2600人、入所者は約2200人に上る(同年4月1日時点)。

 訓練に参加した鹿児島市立病院の吉原秀明救命救急センター長(62)は「数字を把握できたことが第一歩。県外の医療機関に協力を求める可能性があるが、沖縄の避難者もいるので調整が必要だ」と話した。

 28日、沖永良部島では住民が和泊港まで避難する実動訓練があった。県や地元自治体は来年度以降、奄美大島、喜界島、徳之島、与論島でも訓練を重ね、より具体的な避難・救援計画を作成する。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >