魚の産卵や生息守る取り組みは、海洋環境整えるCO2吸収源としての評価も獲得 指宿市山川で進むアマモ場再生、県内初の「Jブルークレジット」認証取得

2025/01/31 06:00
山川町漁協などが再生に取り組むアマモ=17日、指宿市(同漁協提供)
山川町漁協などが再生に取り組むアマモ=17日、指宿市(同漁協提供)
 鹿児島県指宿市山川の児ケ水漁港周辺で進むアマモ場(藻場)再生の取り組みが今月、鹿児島県内初の「Jブルークレジット」認証を取得した。同クレジット制度は、沿岸域・海洋の生態系に取り込まれた炭素を定量化し売買する仕組みで、発行されたクレジットは今後、さらなる保全活動や魚食普及に活用される。

 山川町漁業協同組合を中心につくる「指宿市山川地区ブルーカーボンプロジェクト協議会」(通称・山川の海のゆりかごを守る会)が、約5000平方メートルの範囲を網で仕切り、アマモの種をまいたマットで再生を促す。0.01ヘクタールの藻場造成で吸収された二酸化炭素(CO2)0.4トンが認証の対象となった。

 アマモ場は、魚の産卵場所や稚魚の生息域になるほか、CO2を吸収する性質を持つ。同漁協は2007年、環境変化や魚の食害などによりアマモが減る「磯焼け」の進行を止めるため、アマモ場再生に着手。23年9月には官民で協議会を立ち上げ活動を本格化させ、昨年10月に申請した。

 同漁協の藻場保全活動は23年3月、漁協としては全国で初めて環境省の「自然共生サイト」にも認定されている。同漁協の川畑友和理事(46)は「20年近く試行錯誤してきたことが評価された。持続可能な水産業の実現へ向け、県内の沿岸漁業者のモデルになれば」と話した。

 同制度は、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(神奈川県)が認証や発行を管理。20年の取引開始から全国で延べ78件が認証されている。

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