農産物輸送の98%を担うトラック…「往路は満載、復路は空っぽ」問題にメス 宮崎起点、効率的物流へ実証実験

2025/01/31 11:23
 流通経済研究所(東京)は、九州から本州へ農産物を輸送するトラックの戻り便で日用雑貨を運ぶ共同物流の実証実験を2月2~8日、宮崎県を起点に実施する。フェリー輸送によるモーダルシフトとの組み合わせや、九州、宮崎両自動車道の結節点にあるえびの市に中継拠点を置くことで、輸送効率化や九州の物流ルートの多元化を図る。

 運転手の残業規制強化に伴い物流が滞る「2024年問題」対策の一環で、同研究所は「運転手の労働時間軽減など事業継続計画(BCP)にもつながる取り組みだ」と話している。

 同研究所によると、国内の農水産物輸送の98%はトラックが担っているが、地方に戻る際の荷は少なく積載効率は40%にとどまる。

 一方、本州から九州への日用雑貨輸送は全て陸路で福岡県に運ばれた後、九州各地へ配送されている。単一ルートのため、自然災害発生時には滞る恐れもある。

 実験では、同研究所が開発を進める農産物と日用雑貨の物流情報を共有する技術を活用。宮崎県の農産物を積んだトラックが、宮崎港から神戸港までフェリーで渡り関東へ陸送。帰路は日用雑貨を載せて同ルートをたどり、えびのインター産業団地を中継拠点に福岡、鹿児島方面に配送する。

 実験には、小林製薬など荷主3社、宮崎配送など物流3業者が参加する。同研究所は「実験を検証し、25年度から本格的に荷主や物流業者に物流多元化を提案したい」としている。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >