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鹿児島県警は31日、うそ電話詐欺で、県内の60代女性が約8700万円をだまし取られたと発表した。厚生労働省職員や警察官を装い、LINE(ライン)で「供述調書」と書いた偽の書類を送るなどして信じ込ませた。県警は「相手の顔が分からない要求に応じてはいけない。家族や警察に相談してほしい」と強く呼びかけている。
組織犯罪対策課によると、2024年10月下旬、女性宅の固定電話に厚労省職員を名乗る男から「保険証が偽造され、宮城県で使われている。被害届を出さないと保険証が使えなくなる」と電話があった。「被害届は仙台中央署でないと受理できない」として、電話の相手が警察官を名乗る男に代わったという。
偽の警察官は「銀行口座が犯罪集団に使われ、支店長はあなたが50万円で口座を売買したと供述している。このままだとあなたも起訴される」と説明。偽造した供述調書の写真をLINEで送って信じ込ませ、「捜査中で守秘義務がある」などと口止めした。
女性は「特別に資金凍結しなくて済む方法を教えるので、口座や残高を教えてほしい」とのうそを信用し、24年11月下旬〜12月下旬の間、計11回振り込み、だまし取られた。今年1月下旬、県警に相談があり発覚した。同課の重田克久理事官は「LINEなどで警察手帳の画像を送ったり、事情聴取をしたりすることは絶対にない。電話で身に覚えのないお金を請求されても、答えないでほしい」と呼びかけた。
県警によると、24年のうそ電話詐欺の被害総額は約6億5000万円。SNS型投資・ロマンス詐欺を含めると約20億8000万円の被害があった。