新総合体育館建設予定地のドルフィンポート跡地。現在、サーカス会場となっている=1月10日
鹿児島港本港区のドルフィンポート跡地に新総合体育館を計画する鹿児島県が、当初313億円だった事業費を500億円近くに増額する方針であることが31日、県関係者への取材で分かった。現在の県体育館と県武道館の敷地(いずれも県有地)を売却して充当するほか、民間事業者に資金調達から整備・運営までを包括発注するPFI手法を取りやめて、個別発注する従来型手法への転換を検討する。
最大245億円としていた基本構想の事業費は昨年2月の発表時点で約68億円増加、今回で約2倍に膨らむ。県議会3月定例会が開会する2月19日までに、塩田康一知事が表明する見通し。県議会の理解が得られれば、6月定例会以降に関連予算を計上する。
県は2024年4月、最大313億円で包括発注する計画で入札を公告。当初は県内外の事業者でつくる2グループが参加表明していたが、労務費や建設費、金利の高騰から9月に入札辞退届を提出して不調に終わった。
事業者は県の聞き取りで、経費削減のために初導入するPFI手法についても「コスト増で効果が以前より見込めない」と指摘。県は事業費や手法の見直し、事業者がクリアすべき最低限の基準を示す「要求水準」の緩和を検討するとしていた。
新体育館は、現体育館の4.7倍となる延べ床面積約3万平方メートルで、8000席以上の観客席があるメインアリーナや500席程度のサブアリーナ、武道場・弓道場をそろえる。全国大会が開催できるよう、フロア面積は国民スポーツ大会(旧国民体育大会)の施設基準などを踏まえた。
既存の県体育館(下荒田4丁目)は、鹿児島市出身で飯野海運社長だった故俣野健輔氏の寄付1億1000万円を基に1960年(昭和35)に建設された。敷地面積は9932平方メートル。県武道館(与次郎1丁目)は72(同47)年に建設され、敷地面積4649平方メートル。いずれも老朽化している。