クルーズ船の活力を大隅半島へ。交通弱者の選択肢を広げたい-鹿児島湾4航路目の「なんきゅう」に込めた85歳の情熱

2025/02/02 10:20
株式会社なんきゅうドック会長今村弘彦さん
株式会社なんきゅうドック会長今村弘彦さん
■かお 今村弘彦さん(なんきゅうドック会長)

 「大隅半島の玄関口として、住民生活の向上や観光客誘致につなげたい」-。鹿児島市のマリンポートかごしまと鹿屋市の鹿屋港を結ぶ定期航路をまもなく本格始動させる。薩摩半島と大隅半島を結ぶ定期便は、山川(指宿市)-根占(南大隅町)の自社フェリーを含め4航路目。「多様な移動手段を用意することで、鹿児島の交通弱者の力になりたい」と意気込む。

 指宿市の山育ちということもあり、鹿児島湾への思い入れは強い。父は海軍だったといい「幼少期から海に憧れがあった」。指宿高校卒業後は、農機大手で漁船のエンジン製造や修理を手がけ、鹿児島事業所を引き継ぎ独立した。「船とエンジンの総合病院という自負で67年間続けてきた」と胸を張る。海上運送事業は2009年から。「鹿児島湾は鹿児島の宝。活用しない手はない」と立ち上げた。

 新定期航路は、不定期での運行を始めた4年前からの目標。クルーズ船寄港が増えるのを見て、「この活力を大隅半島に持ち込めないか」と思った。鹿児島から鹿屋市への直行航路はなく、病院や買い物など生活の足としての利用も見込める。「単身赴任の人や1人暮らしの学生にも、帰省などで気軽に活用してほしい」と提案は尽きない。

 鹿児島市和田3丁目に自宅を構えるものの、休日は実家のあった指宿市の池田湖近くで妻のサチエさん(84)と野菜作りに精を出す。「午前4時には起きて、散歩と軽い運動をするのが健康の秘訣(ひけつ)」と笑う85歳。

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