計画上の避難先を変更するなど即応力向上目指す 14日から原子力防災訓練、自治体職員や住民ら4820人が参加 薩摩川内

2025/02/07 17:30
2023年度の県原子力防災訓練。能登半島地震を受け、倒壊家屋からの救助訓練を取り入れた=24年2月、薩摩川内市
2023年度の県原子力防災訓練。能登半島地震を受け、倒壊家屋からの救助訓練を取り入れた=24年2月、薩摩川内市
 国は鹿児島県と合同で14~16日、九州電力川内原発(薩摩川内市)の重大事故を想定した原子力総合防災訓練を行う。自治体職員や住民ら約4820人が参加し、事故の進展に合わせ、初動態勢の構築や避難誘導を点検。能登半島地震で懸念が高まる複合災害に備え、計画上の避難先を変更するなど即応力の向上を目指す。

 国訓練の県内実施は2013年10月以来。薩摩半島西方沖を震源とする最大震度7の地震が発生し、川内1号機から放射性物質が放出、炉心冷却もできなくなる事態を想定する。訓練メニューには、孤立地区の発生や避難道路の寸断を織り込む。

 14日は迅速な初動態勢の構築に向け対応要員の参集や状況把握、テレビ会議システムを使った関係機関の情報共有などを図る。住民の避難や屋内退避、孤立地区の救援といった実動訓練は15、16日に予定する。

 避難先が地震で被災するケースが考えられることから、一部を代替避難先に変更。内閣府の担当者は「臨機応変な非常時の流れを確かめたい」と説明する。

 複合災害への対応はこのほか、消防車が進入できなくなった地区での火災発生に備えたヘリ消火、断水地域での屋内退避を想定した応急給水を計画。ヘリを使った救助や物資輸送、応急の架橋や通信障害からの復旧なども能登半島地震を受けて原子力防災訓練としては初めて行う。倒壊家屋からの救出は23年度の県訓練に続く実施となる。

 緊急時モニタリング、避難住民の除染や被ばく傷病者への処置、安定ヨウ素剤の輸送・配布などもある。

 県は訓練後、課題を洗い出したい考え。「避難計画の見直しなど原子力防災対策の充実強化を図りたい」としている。

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