〈資料写真〉2009年2月、副振動で転覆した小型漁船を引き揚げる住民ら=薩摩川内市上甑の小島漁港(薩摩川内市提供)
海面が短時間で上下したり強い流れが繰り返されたりする「副振動」(あびき)が鹿児島県内で発生している。鹿児島県十島村中之島で5日、振幅約1メートルを観測し、名瀬測候所が今年初めて潮位情報を発表した。県内でも過去に漁船転覆などの被害があり、鹿児島地方気象台は注意を呼びかけている。
気象台によると、副振動は沖合の気圧の急変で発生した波が増幅し、湾や港の波の周期と共振して引き起こされる。突発的に発生することが多く、予測は難しい。特に春先は上海の沖合で低気圧が発生しやすく、九州西岸や奄美地方で副振動が起きやすい。
名瀬測候所によると、5日午後1時5分ごろ、十島村中之島で5分間に最大約1メートルの潮位変動を観測した。被害は確認されていない。
県内では2009年2月、いちき串木野市や南さつま市、屋久島町、薩摩川内市上甑島など広い範囲で漁船が沈没するなどの被害があった。上甑島では10年にも床下浸水などがあった。
鹿児島地方気象台は、通常の潮の満ち引きとは異なる潮位変化に気を付け、港湾施設の浸水や船を係留したロープが切れないよう注意してほしいとしている。