八板俊輔 西之表市長
鹿児島県西之表市長に3選を果たした八板俊輔氏(71)に今後の市政の進め方を聞いた。
-まず何に手を付ける。
「人材確保対策事業の拡充だ。1次産業しかり、医療・福祉や飲食店も人手不足に悩んでいる。初年度の2023年度が43人、24年も現時点で同数。対象業種を広げるなどして実績を増やし続けたい」
「住宅確保も進める。市内全域で空き家調査をやった。活用の具体策を探り、校区と協力して新築することも考える。人手不足を含め、馬毛島の自衛隊基地整備が影響した一面がある」
-基地工事が3年延長され、30年3月末まで続く。
「4年程度という当初見込みは、正確ではなかったということ。延長幅が大きく、防衛省には再三『協議の場で説明を』と言っている。環境影響評価もこのままでいいのか。評価の基になった情報は正確だったのか。なぜ延長になったのか。市民が納得できる説明がほしい」
-基地運用を見据えた対応も考えないといけない。
「種子島上空を飛行しない保証がほしい。文書での確約や飛行禁止区域の設定があれば市民も安心する。防衛省は『訓練のコースに種子島上空は入ってないから飛ばない』としか言わない。それは当たり前で、訓練以外はどうなのかというのを問題にしている」
-基地整備に対する市民の期待にどう応えるか。
「焦点は基地関連交付金を活用する際の自由度、交付の期間と額だ。現在の米軍再編交付金は原則10年間だが、将来にわたって危険が伴うかもしれない。子や孫の世代が引き受けるのだから道筋をつけなければ」
「景観も取り上げる。岳之腰(馬毛島の最高地点71メートル)が削られた。県民にとっての桜島、国民にとっての富士山のような存在。しかし、防衛省の回答は『0.02~0.43%の変化で大したことない』だ。心情面などを考慮した補償も求めなければいけない」
-国とどう向き合うか。
「協議をこれまで以上に密にして、市民の不安の解消と期待の充足に力を入れる。これが達成されるかどうかが、基地整備の同意、不同意の判断材料になる」
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やいた・しゅんすけ 1953年、西之表市西之表出身。早稲田大学時代は体育会漕艇(そうてい)部に所属し、「オアーズマンシップ(正々堂々、敢闘精神)」をたたき込まれた。