500億円割ったけど…新体育館事業費488億円、基本構想の2倍 開業は3年遅れ、償還期間は30年に伸びる 客席減で国際大会開けない競技も…

2025/02/14 23:38
鹿児島県が新総合体育館整備で新たな事業費や整備手法を示した説明会=14日、県議会
鹿児島県が新総合体育館整備で新たな事業費や整備手法を示した説明会=14日、県議会
 鹿児島県の塩田康一知事は14日、鹿児島港本港区のドルフィンポート跡地に計画する新総合体育館の事業費を488億円に増額する方針を県議会に示した。基本構想の約2倍。事業費を圧縮するため、客席数を削減し整備運営手法も変更する。開業は最短でも当初計画より約3年遅れの2032年度末となる。「現在の体育館が果たしてきた役割を継承するのが県の責務だ」と述べた。

 議会での議論を踏まえ、整備・運営手法や予算化の時期を判断する。

 メインアリーナを8000席以上から7000席に、サブアリーナは500席程度から200席に、武道場や弓道場も客席数を減らす。一部競技の国際大会が開けず、経済効果や来場者数も減少するが、塩田知事は「やむを得ない」との認識を示した。競技面積は維持する。

 民間事業者に資金調達から整備・運営までを包括発注するPFI手法を取りやめ、個別発注する従来型手法へ転換する。事業費は4億円増え、償還期間も30年に伸びる。一方で、新たに15億円の交付金のほか、交付税措置のある有利な地方債を受けられる可能性があり、毎年度の財政負担を抑えられるとした。

 県は22年策定の基本構想で最大245億円とした事業費を313億円に増額し、24年4月に入札を公告。労務費や建設費の高騰、金利上昇の影響で9月に入札不調となった。

 実勢価格により近い指標や事業者へのヒアリングを踏まえた積算では536億円となったが、客席の削減、整備手法の転換、支払い前倒しなどで最終的な事業費は488億円とした。内訳は設計費を含む施設整備費415億円、15年間の維持管理・運営費37億円、30年間の金利など36億円。

 塩田知事は計画の凍結や撤回、従来の313億円以内での整備も考えたと説明。「整備時期が遅れるほど事業費が増える可能性は高い。整備するならできるだけ早くすることが望ましい」と話した。

 現在の県体育館と県武道館の敷地(いずれも県有地)を売却し体育館事業に充当する。売却益は計約20億円を見込む。事業費は年間15.7億円程度を県費で30年間支払う計画。

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