現地対策本部などが初動態勢の構築、住民避難に向けた情報共有を図る…国と合同の原子力総合防災訓練始まる 16日まで

2025/02/15 06:30
原子力総合防災訓練で、九州電力から川内原発1号機の状況報告を受ける鹿児島県の対策本部会議=14日、県庁
原子力総合防災訓練で、九州電力から川内原発1号機の状況報告を受ける鹿児島県の対策本部会議=14日、県庁
 九州電力川内原発1号機(薩摩川内市)の重大事故を想定した国と鹿児島県合同の原子力総合防災訓練が14日、始まった。同日は外部電源の喪失や炉心冷却に支障が出る事態に至ったとし、内閣府や県、同市の県原子力防災センターに置いた現地対策本部などが初動態勢の構築や住民避難に向けた情報共有を図った。国訓練の県内実施は2013年10月以来。16日まで。

 想定によると、薩摩半島西方沖を震源とする最大震度7の地震が起き、薩摩川内市で震度6強を観測。1、2号機は自動停止したが、1号機でトラブルが続いた。行政の対応段階は発災後の「警戒事態」から、放射性物資が放出する恐れがあるとして「施設敷地緊急事態」に移行した。

 県の対策会議では5キロ圏内に孤立地区が発生したほか、鹿児島市が大規模被災で避難の受け入れが困難になったと報告。計画上は同市に向かう5キロ圏内住民の避難先を姶良市に変更した。塩田康一知事は「放射線防護と人命救助を最優先にしてほしい」と指示した。

 現地対策本部では自治体や九電の職員らが広報や住民安全、医療といった班ごとに色の異なるビブスを着用し、対応の手順を確認した。薩摩川内市は事故を受けた会議に幹部22人のうち8人が出張などで駆け付けられない状況を独自に設定。能登半島地震で自治体職員の一部が庁舎に参集できなかった教訓を基にした。

 原発内では緊急時対策棟に約100人が詰め、原子炉の状況を監視。放射性物質に汚染された社員の救助訓練もあり、防護服を着た看護師らが食塩水をかけて除染するなどした。

 訓練は主に30キロ圏内の9市町で実施。15、16日は住民避難や複合災害を受けた復旧活動などを行う。

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