基本構想から事業費は約2倍 「別次元」に入った鹿児島県新総合体育館 整備遅れるほど膨らむ費用、賛否の責任負う県議も当惑

2025/02/15 18:00
新総合体育館建設予定地のドルフィンポート跡地。現在、サーカス会場となっている=1月10日
新総合体育館建設予定地のドルフィンポート跡地。現在、サーカス会場となっている=1月10日
 鹿児島県の塩田康一知事は14日、鹿児島港本港区のドルフィンポート跡地に計画する新総合体育館の事業費を488億円に増額する方針を県議会に示した。現在の体育館が果たしてきた役割を継承するのが責務とする県に対し、県議からは「小手先だけの見直し」「県民の意向を把握して」と批判や注文が相次いだ。県は議論を踏まえて予算化の時期を判断するとしたが、議会が賛否を示せるかは見通せない状況となっている。

 「希望的な観測という印象を受けた」。最大会派自民党県議団の西高悟会長は説明会後、報道陣の取材に答えた。「今後の労務費や資材の上昇をどれだけ見込んでいるか分からない」とし、19日に始まる3月定例会ではより詳細な説明が必要との認識を示した。

 事業費圧縮のため、県はメインアリーナの客席数を削減する方針を提示。コンサートなどを企画するプロモーターから「誘致件数への影響はあまり見込まれないと聞いた」と説明した。

 ある自民県議は「小手先の削減だ」とばっさり。「基本構想策定から3年になり、人口減少も進む。需要予測や経済効果を再調査してほしい」と求めた。

 県はさらなる事業費増加の可能性を問われ「全くないとは言えない」と否定しなかった。新体育館計画に一貫して反対する岩重仁子議員(無所属)は「後出しでどんどん追加されないか。動き出してからでは手遅れ」と批判した。

 塩田知事は30分にわたって新体育館の必要性や見直し内容を説明。整備が遅れるほど事業費が膨らむ可能性が高く、「できるだけ早く整備することが望ましい」と理解を求めた。

 野党会派県民連合の福司山宣介会長は「新体育館の必要性は理解している」とする一方、「議会だけに責任を負わせるのはやめてほしい」と指摘。事業費が基本構想から約2倍となり、「もはや当初とは別次元の話になった。県民の意向を把握して、理解を深めてから進めるべきだ」と話した。

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