人手不足のバス業界 鹿児島交通の自社養成制度活用した初の女性運転手誕生「業界に興味を持つきっかけに」…デビューは19日

2025/02/16 06:00
鹿児島交通の「自社養成」で初の女性運転手となった前田暁さん(左)と春田正三安全指導部長=14日、鹿児島市
鹿児島交通の「自社養成」で初の女性運転手となった前田暁さん(左)と春田正三安全指導部長=14日、鹿児島市
 鹿児島交通(鹿児島市)に14日、大型2種免許取得前から採用する「自社養成」制度を活用した女性ドライバーが初めて誕生した。卒業試験を突破し3カ月間の研修期間を終えた前田暁さん(54)は「資格の有無や性別、年齢は関係ない。誰もがバスの運転手になれるというモデルケースになりたい」と意気込む。

 前田さんは霧島市出身。東京や埼玉県暮らしが長く、子育てを終えたことなどから2015年、約40年ぶりに帰郷した。元々乗り物好きで、大型免許は取得済み。同市で高齢者向けの配食サービスをしていた際、鹿児島交通の採用募集が目にとまり、バス運転手の道へハンドルを切った。

 バス業界は、高齢化や新型コロナウイルス禍による離職が相次ぎ運転手が不足しており、同社は10年ほど前から始めた未経験者を採用する自社養成制度の活用を呼びかける。前田さんは24年11月、同制度で入社し今年1月に免許を取得。講習代など取得費は全て同社が負担した。

 前田さんは「クラッチとアクセルの操作に手こずり、発進できなかった」と苦笑いするが、練習を重ね車両感覚や運転技術を磨いた。卒業試験は、指導員が同乗するものの実際に営業する路線バスを運転。全停留所をミスなく回り、乗客から「安心して乗れた」とねぎらいの言葉ももらった。

 国の交通政策白書によると、バスの運転手・整備要員の女性比率は22年度で2%。鹿児島交通でも前田さんを除き女性運転手は3人にとどまり、割合は1%ほどだ。同社の春田正三安全指導部長(62)は「女性に限らず多くの人が業界に興味を持つきっかけになれば」と活躍に期待した。

 前田さんは今月19日、国分営業所(霧島市)でデビューする。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >