南国交通の路線バス
南国交通(鹿児島市)は17日、定期券に設定された運賃額内であれば、同社の路線バスならどこでも乗り降りできる「金額式定期券」を4月から導入すると発表した。同社によると、九州のバス事業者では初めて。担当者は「採算性は見通せないが、利便性を向上させることで、将来的には利用者増につなげたい」としている。
現行は、利用客が乗り降りする区間を指定して購入するため、区間外では使えず、乗り越す場合は初乗り運賃から別途かかる。金額式では、設定された運賃額内であれば区間に関係なく利用でき、乗り越しても差額分を支払うだけで済む。運賃額内なら何度でも乗り継ぐことができ、長距離移動も追加運賃なしで利用することが可能だ。
金額式は現行と同じICカード「ラピカ」を使用。表記が区間ではなく運賃額となる。区間定期券の販売も続ける。片道運賃が同じ場合、定期代は金額式と変わらない。
金額式は3月中旬ごろからの販売を見込む。金額式への切り替えは、現在の定期期限の終了後からとなる。
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南国交通(鹿児島市)は17日、4月1日から全路線バスを対象に、運賃を平均6.7%値上げすると発表した。初乗り運賃は鹿児島市内が30円増の230円、北薩、姶良方面が40円増の200円になる。
新型コロナウイルス禍以降の収入悪化に加え、人手不足に対応する運転手の待遇改善や設備更新費に充てる。担当者は「今後もバス事業を継続していくため」と理解を求める。
同社の運賃改定は2023年12月以来。24年11月28日に九州運輸局へ路線バスの運賃改定を申請していた。現在も審査中だが、認可される見通し。