日本一の念願かなった 荒茶生産量でついに静岡を抜いた鹿児島 ナンバー1のブランド効果に生産者は期待

2025/02/19 11:02
新緑の新芽を機械で摘み取る農家=2024年3月、西之表市古田
新緑の新芽を機械で摘み取る農家=2024年3月、西之表市古田
 鹿児島県の2024年産の荒茶生産量が静岡県を抜き日本一となったことを受け、県内の関係者からは「長年の念願がかなった」と喜びの声が上がった。一方で「高齢化や消費者の茶離れなど業界の課題は多い」と、改めて気を引き締める声も聞かれた。

 県は18日夕、さっそく県庁に特設コーナーを設置。「日本一」の文言とともに、茶の効能や品種を紹介するパネルを掲示した。

 県茶業会議所の柚木弘文会頭(69)は「全国2位が長かった。生産者をはじめ、茶商や関係団体の努力が結実した」と喜ぶ。「今後は消費をどう増やすかが重要。生産量・産出額いずれも1位になれるよう安定した生産を目指す」と次の目標を見据える。

 鹿児島は全国茶品評会で、21年連続で産地賞を獲得する。県茶商業協同組合の澤田了三理事長(73)は「日本一の称号はブランド力を高める。県外にPRするのに役立つ」と評価。全国に先駆けて乗用型摘採機を開発した松元機工(南九州市)は、県内の農地拡大化などに貢献してきた。松元雄二社長(51)は「農家とともに歩む会社。日本一は誇らしい」と話す。

 祝福ムードが広がる中、県内茶業界の将来を冷静に見据える声も。「油断はできない」と気を引き締めるのは、県内一の産地を持つ南九州市茶業振興会の西垂水学会長(70)。「静岡が減った結果、鹿児島が浮上したともいえる。消費低迷や資材高騰など、生産者を取り巻く環境は厳しい」

 人口減少とともに、お茶の国内市場も縮小の一途をたどり、県は輸出拡大に力を入れる。県茶生産協会の坂元修一郎会長(69)は「行政とも連携し、基盤整備や生産性向上を図り、世界に向けてかごしま茶をアピールしたい」と力を込めた。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >