三松中学校2、3年生に語りかける宮津航一さん=小林市堤
宮崎県小林市の三松中学校は14日、立志の集いに、熊本市・慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)に預けられた経験を公表している宮津航一さん(21)を招き、特別講演会を開いた。宮津さんは「家族は当たり前の存在じゃない。だからこそ日頃の絆を大切にして」と2、3年生約120人に呼びかけた。
ゆりかごは、さまざまな事情で保護者が育てられなくなった乳幼児を匿名で預かる施設。宮津さんは、開設日当日に初めて預けられた子どもで、当時3歳だった。里親の美光さん、みどりさん夫妻の下で育ち、高校2年の時、正式に養子となった。
宮津さんは「自分には、ゆりかごに預けられる以前の記憶がない。幼い頃は生い立ちを振り返る授業が苦手で、『当たり前』に答えられる同級生に引け目があった」と振り返った。
引け目を引きずらなかったのは「家族というのは、血がつながっているだけではなくて、最後まで味方でいることだ、と父がいい、それを実際の行動で示してくれたから」と語った。
大学生として学びながら、子ども食堂の運営など、人の絆づくりに携わる活動をしている宮津さんは「世の中のさまざまなことに関心を持ち、他者が気づかないものに気づく人になってほしい」と生徒たちにエールを送った。
2年、永田紫珠来(しずく)さんは「日常を大切に生きないといけない、ということを教えてもらった」と話した。