水俣病の健康調査の在り方を議論する専門家検討会=21日、環境省
環境省が2026年度を目指す水俣病の健康調査を巡り、同省の専門家検討会は21日の第3回会合で、同省研究班の脳磁計とMRIを組み合わせた診断手法で先行的な実現可能性調査を実施する方針を了承した。今回で実質議論を終えた。
検討会の取りまとめ案は、「同手法によってメチル水銀の脳への影響をある程度客観的に評価でき、集団に対する評価法の精度として一定の段階に到達した」と指摘。問診や神経学的診察に加えて同手法を活用することは疫学調査の精度を高める上で妥当とした。
健康調査は(1)水銀暴露の高かった地域(2)その周辺地域(3)水銀暴露がなかった地域-で対象者を無作為抽出し、個人診断ではなく地域間を比較する。今後は同省を中心に実現可能性調査を25年度に実施し、課題を検討した上で26年度の本格調査が可能か判断する。
座長の新美育文・明治大学名誉教授は「客観的なデータが出てくることが期待できる。実施上は調査協力者がどこまで得られるかが大きな問題」と話した。