ヒノキがふんだんに使われた真新しい音楽ホールで土田浩さんのチェロ演奏を楽しむ人たち=えびの市向江
宮崎県えびの市向江の京町商店街にある銀行跡の建物が、宮崎県産ヒノキをふんだんに使った音楽ホールに生まれ変わり、15日、初コンサートが開かれた。約30人がぬくもりある木の空間が生み出す豊かな音を楽しんだ。
京町温泉クリニックの後庵究(きわむ)院長(78)が、2017年まで宮崎銀行真幸出張所として使われていた建物を購入。音楽好きの同院長は「昔、宮崎市で通いつめたピアノバーのような場をつくりたい」と、同市末永の廃校で「匠(たくみ)塾グローバル・ヴィレッヂえびの」を主宰する建築工芸家の川野幸三さん(85)に内装を依頼した。
「現代の名工」にも選ばれている川野さんは昨年10月から、アルバイト1人と作業に入り、知り合いのチェロ奏者、土田浩さん(65)らに試奏を依頼しつつ、広さ100平方メートルほどの小ホールが十分な音響効果を発揮できるようヒノキを設置。15日は、最終確認を兼ね、土田さんのコンサートを開いた。
約1時間演奏した土田さんは「チェロやピアノなど木製楽器の演奏者にとり、大変気持ちよく演奏できる空間に仕上がっている」と太鼓判。川野さんは「コンクリートの建物に木をなじませるのは難しかった。年数がたつほど、いい音響になると思うので今後、どう生かしてもらえるか楽しみ」と話した。
「音響確認と思って来たら本格的なコンサートをしていて驚いた」と苦笑いした後庵さんは「いい器に仕上げてもらった。週1回、音楽好きが気軽に集まれる場にしたい」と語った。