68年の歴史に幕を閉じた名瀬港湾合同庁舎(旧庁舎)=奄美市名瀬入舟町
奄美海上保安部が入っていた名瀬港湾合同庁舎(鹿児島県奄美市名瀬入舟町)は、名瀬第2地方合庁(同市名瀬矢之脇町)への移転に伴い68年の歴史に幕を閉じた。日本で一番古い港湾合庁とされ、1953(昭和28)年12月の奄美群島の日本復帰後、周辺海域の安全を守る拠点だった。
同保安部は54年、鹿児島海保名瀬警備救難署として発足。56年1月、借り上げ庁舎から鉄筋コンクリート2階建ての旧庁舎に移転した。増設され3階建て(延べ床面積1100平方メートル)となった同11月、検疫所や海運局などが入った。
奄美大島沖で2001年12月に起きた北朝鮮工作船の銃撃・沈没事件で、工作船から銃弾を受けた巡視船「あまみ」も04年まで12年近く所属していた。
奄美海保の職員19人は昨年12月、新庁舎に引っ越した。今月8日には旧庁舎を一般開放し、住民ら約30人が訪れた。大場伊佐大(いさお)部長は「奄美の日本復帰ととも歩んできた庁舎で、諸先輩が各事案に対応してきたので寂しさがある」と語った。旧庁舎の取り扱いは検討中という。