原口アヤ子さん
1979年に大崎町で男性の変死体が見つかった「大崎事件」を巡り、殺人と死体遺棄の罪で服役した原口アヤ子さん(97)の親族が裁判のやり直しを求めた第4次再審請求について、最高裁第3小法廷(石兼公博裁判長)は25日付の決定で特別抗告を棄却した。
弁護側は、自転車ごと側溝に転落したことによる事故死と主張し、確定判決の「タオルによる絞殺(窒息死)」を否定。解剖時の写真を基にした救命救急医による医学鑑定などを新証拠として提出していた。鹿児島地裁は2022年6月、「死因や死亡時期を証明する決定的なものとはいえない」と判断。福岡高裁宮崎支部も23年6月、「死体を直接検分しておらず、証明力は高いものとは言えない」として再審を認めなかった。
弁護側は同月、「新証拠の判断方法を誤っており、判例違反だ」と主張し、最高裁に特別抗告していた。
事件は物証に乏しく、原口さんは取り調べ段階から一貫して否認したが、共犯とされる親族3人の自白が確定判決を支えた。第1次再審請求では地裁が再審開始を認めたが高裁支部が取り消した。第3次請求では地裁と高裁支部いずれも認めたが、最高裁が取り消した。
■大崎事件 1979年10月、大崎町井俣の農業男性=当時(42)=の変死体が自宅牛小屋の堆肥の中から見つかった。鹿児島地裁は80年、殺人と死体遺棄の罪で義姉だった原口アヤ子さんに懲役10年、長兄(原口さんの元夫)に同8年、次兄に同7年、死体遺棄罪でおいに同1年を言い渡した。確定判決は原口さん以外の3人の自白などを根拠に、男性の生活態度に不満を募らせた原口さんが元夫らと男性宅で首をタオルで絞め殺害、おいを加えた4人で牛小屋に遺棄したと認定した。