鹿児島県西之表市は26日、総額148億4000万円の2025年度一般会計当初予算案を発表した。過去最高で24年度当初比3.4%増。市税収入が9.0%増と3年連続で増えた。特に法人市民税や固定資産税が伸びており、市は「馬毛島の基地整備に関連する法人の数や収入が増えたことが影響している」と説明した。
基地着工から2年がたち、各業種の人手不足が顕在化。就職奨励金など、23年度に始めた人材確保対策事業の対象を広げる。歯科衛生士や管理栄養士を加え、公共交通の運転手育成には免許取得費用の一部を支援する。医療、介護、子育て、農林水産、商工など9分野で計3536万円。
高齢者支援では、シニアカー購入に上限15万円を補助。旧榕城中学校に図書館を中心とした多世代交流施設の整備を計画しており、25年度から用地の用途変更や各種設計を進め、30年度の供用開始を目指す。
自主財源比率は2.8ポイント増の27.3%。25年度末の市債残高は2億4000万円減の79億4200万円。当初予算編成で財政調整基金から約7億5000万円を充てており、基金残高は12億5720万円減の45億6861万円を見込む。
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西之表市は26日発表した2025年度一般会計当初予算案(総額148億4000万円)で、38事業計20億5310万円に馬毛島の自衛隊基地整備に伴う米軍再編交付金を充てた。歳出全体の13.8%を占める。新規では農家の負担軽減に焦点を当て、高騰した飼料・肥料の価格抑制を図る。
肥料が20年、飼料は21年を基準に24年の販売価格と比較。高騰した割合をそれぞれ37%、25%と算定し、その分を補助する。市内の事業者にあらかじめ補助が入った価格で農家に販売してもらい、本来の価格との差額を後から補填(ほてん)する仕組み。南種子町が23年度の再編交付金で実施している。
価格高騰が収束するまで続ける意向だが、開始時期は「手続きなどが整い次第なるべく早く」とするにとどめた。飼料増産に向け、市営牧草地に鳥獣被害防止の金網を設置し、二期作にも取り組む。
これらとは別に、24年度分を活用し、新たに無料のがん検診を始める。胃がん、肺がん、大腸がん、乳がんは40歳以上、子宮がんは20歳以上が対象。
再編交付金の交付は4年目。25年度の最大交付額は前年度と同額の20億7100万円を見込んでいる。