南西諸島有事の抑止力顕示…沖永良部島で日米共同訓練アイアン・フィスト オスプレイは「米軍の運用上の都合」で飛来せず

2025/02/28 07:00
戦闘訓練をする水陸機動団の隊員=27日午後2時すぎ、知名町の大山野営場
戦闘訓練をする水陸機動団の隊員=27日午後2時すぎ、知名町の大山野営場
 陸上自衛隊と米軍による日米共同訓練アイアン・フィスト(IF、鉄の拳)が27日、鹿児島県の沖永良部島であった。中国軍が活動を強める南西諸島で抑止力強化を顕示した。計画されていた海と空からの着上陸訓練と戦闘訓練に米海兵隊と米軍輸送機MV22オスプレイは参加しなかった。

 防衛省は計画変更について「米軍の運用上の都合」としている。

 午後2時すぎ、知名町の大山総合グラウンドに陸自の輸送ヘリコプターCH47が着陸、小銃を持った「水陸機動団」(長崎県)の隊員約20人がグラウンドに飛び出した。そのまま町道を横切り、隣接するキャンプ場に移動。「応射」と敵に反撃する指示を出しながら進み20分ほどで相手を制圧した。午後3時すぎには再び飛来したヘリで戻った。

 午後6時すぎには、和泊町の笠石海岸で偵察用ボートを使った着上陸訓練があった。市民約30人が見学する中、米海軍の揚陸艦「ラッシュモア」を出発した水陸機動団約40人が5艇で上陸。先に泳いで上陸した想定の隊員が誘導し、砂浜に展開した。海自の輸送艦「くにさき」を出た4艇約30人も日没後に上陸した。

 訪れていた和泊町の宗淳さん(73)は「島には自衛隊施設があり有事には攻撃対象になりうる。しっかり訓練してほしい」。知名町の女性(51)は「若い隊員が銃を持って訓練するのは複雑な気持ち。外交努力をして訓練が必要ない世の中になってほしい」と話した。

 市民団体は「日米合同軍事演習反対」の横断幕を掲げた。今回のIFは九州・沖縄各地であり、沖永良部島での訓練は唯一、自衛隊や米軍の施設ではない「生地(せいち)」で行われた。

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