鹿児島水産高で採れた大粒キャビアが商品化、限定100個販売へ 生徒が代々飼育引き継ぎ18年、大きく育った研究用シロチョウザメから2.9キロ採卵 枕崎市

2025/03/03 07:00
採卵するチョウザメの状態を調べる生徒たち=枕崎市の鹿児島水産高校
採卵するチョウザメの状態を調べる生徒たち=枕崎市の鹿児島水産高校
 枕崎市の鹿児島水産高校で育てたチョウザメから取った卵のキャビアが商品化された。2007年から研究用に飼育している1匹から採卵。専門の加工業者から高い評価を得た。「薩摩黒キャビア 黒珠玉」のブランド名で、同市の地域商社を通じて近く発売する。

 チョウザメは成長に時間がかかり、採卵できるまで品種によっては8~10年かかるため、その卵を塩漬けにしたキャビアは高級食材として珍重されている。

 同校では当初、シロチョウザメ100匹を導入し、海洋科栽培工学コースの生徒が代々、飼育や雌雄判別などの研究を重ねてきた。冷水性の魚のため、夏場は遮光シートで水槽を覆って温度上昇を防ぐなど苦労も多いという。現在は、後に導入した別の品種など計約70匹を飼育している。

 採卵したのは当初導入したシロチョウザメで体長約1.7メートル、体重約29キロ。1月22日に宮崎県椎葉村でチョウザメを育てている鈴木宏明さん(37)=キャビア王国代表=を招き、約2.9キロを採卵した。チョウザメ班の生徒4人を中心に同コースの2、3年生24人がいい卵を持った個体の見分け方や解体を体験した。

 持ち帰って加工した鈴木さんは「粒の大きないいキャビアができた。脂肪を減らすなど採卵のタイミングもよかった」と評価した。

 同市の地域商社推進機構が、20グラム入りガラス瓶を木箱に詰めて商品化。限定100個で1個1万円程度を想定する。ふるさと納税サイトなどで取り扱い、収益はチョウザメの餌として同校に還元する。

 指導する溝端祐樹教諭(39)は「よくここまでやってきた。製品化には安定した養殖が必要で、まだまだ取り組むべき課題は多い」と話す。

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