「一緒にもう1回頑張ろう」…何度もうなずくようなしぐさを見せた原口さん 「大崎事件」弁護団、5度目の再審請求へ

2025/03/03 11:25
原口アヤ子さん(左)に第4次再審請求棄却を報告し、5度目の申し立てを確認する大崎事件弁護団の鴨志田祐美弁護士=2日、鹿児島県内
原口アヤ子さん(左)に第4次再審請求棄却を報告し、5度目の申し立てを確認する大崎事件弁護団の鴨志田祐美弁護士=2日、鹿児島県内
 1979年に大崎町で男性の変死体が見つかった「大崎事件」の弁護団(森雅美団長)は2日、5度目となる再審請求を鹿児島地裁に申し立てる方針を明らかにした。時期は未定。殺人罪などで満期服役した原口アヤ子さん(97)の第4次再審請求が最高裁に棄却されたことを受け、県内の入所先で本人と面会。会見を開き、声明を出した。

 今回、宇賀克也裁判官が付けた反対意見を踏まえ、声明は「最高裁の裁判官が初めて『再審開始すべき』と意見を述べた。『確定判決の事実認定の正当性についての合理的な疑い』が投げかけられたにもかかわらず、多数決により押し切られた。無辜(むこ)の救済の理念などを骨抜きにするものといわざるを得ない」とした。

 森団長は会見で「宇賀裁判官は科学的な現在の見地から(弁護団の)鑑定を信用に値すると判断し、関係者供述の信用性に疑問を投げかけた。これを手がかりに次のステップに踏み込みたい」と話した。

 弁護団と「再審をめざす会」が原口さんと面会。弁護団の鴨志田祐美事務局長が「やっと最高裁でも分かってくれる人が出た。一緒にもう1回頑張ろう」と告げると、原口さんは何度もうなずくようなしぐさを見せた。

 鴨志田事務局長は面会後、「一日千秋の思いで待つアヤ子さんに『ダメでした』と伝えるのは本当につらい。ただ今回は絶望ではない。何よりもそれを伝えたかった」と話した。

 第4次請求を巡っては、弁護団は遺体の解剖時の写真を基にした救命救急医の鑑定などを新証拠とした。最高裁第3小法廷(石兼公博裁判長)は2月25日付の決定で「証明力に限界がある。有罪認定に合理的疑いを生ずる余地はない」として、原口さん側の特別抗告を棄却した。

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